バイオリンの各部分の名称について

こちらの記事では、各バイオリン部分の名称・意味・用途等について、説明いたします。魂柱f字孔等にどんな意味や使い方があるか知りたい方に、とっておきの記事となっております。ぜひ、ご覧くださいませ。

スクロール

スクロールは、バイオリンの先端にある彫刻された部分です。ネックと同じ木材(通常はカエデ材)から削り出されます。スクロールの質量がバイオリンの音に影響している一方で、独特なデザインである主な理由は、職人のスキルを示すこと、美しく見せること、そして収納時に、バイオリンを吊るすために、フックとして使われることもあります。これは昔の羊皮紙を丸めたようなものに似ており、英語でスクロールと呼ばれています。(これが名前の由来)

その他の楽器、特に初期の弦楽器では、スクロールの模様部分は人間や動物の頭の形として彫られており、イタリア語ではまさしく、この部分を「la testa」(日本語で「頭」という意味)と呼ばれています。以下が変わったスクロールの写真となります。

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f字孔

彫られているf字孔

の両側にある2つの穴はf字孔と呼ばれ、旧字体の筆記体「ƒ」と似ています。

バイオリンの共鳴胴で増幅された音は、f字孔によって放出されます。

更にf字孔があると、バイオリン上部がより自由に振動され、音の音色にも影響を与えます。f字孔特有の形は、何世紀にも渡った試行錯誤の上辿り着いたものであり、細長い穴は楽器のスペースを取らずに、より大きい音を逃がすことができたため、この形が選ばれた可能性が高いです。

こちらが、どのように「f字孔」が現在の形になったか示されている写真になります。

10世紀から18世紀にかけての弦楽器におけるf字孔の進化

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アジャスター

ボールエンドの弦用に作られたアジャスター
ループエンドの弦用に作られたアジャスター

アジャスターは、後少しでの音程が合うという時に、音程の微調整をしてくれるものです。

ただ、アジャスターはチューニングできる範囲が限られているため、ペグの代わりにはなりません。殆どのバイオリンには、少なくとも1つのアジャスターが付いており、大抵E弦に設置されています。

一部のバイオリン、特に初心者や子ども用に作られたバイオリンは、チューニングしやすくする為に4つのアジャスターが付いています。子ども用の場合、子どもの手は柔らかくて、ペグで調弦できない事が多いので、これは特に重要なものになります。

上級者の間では、4つのアジャスターが付いているバイオリンを持っている人は、より珍しくなりますが、4つのアジャスター専用に作られたテイルピースが設置されていれば(通常のテイルピースにアジャスターを追加する事とは違い)音に大きな変化を与える事はありません。

ウィットナー社のアジャスター付きのテールピースと、そのテールガット。
このテールピースは初心者向けのバイオリンによく見られる。

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パーフリング

パーフリングのための溝を彫っている職人
彫られた溝にパーフリングを入れ込んでいる職人

パーフリングは、バイオリンの外側の縁にある線の事です。

一見この線は描いているように見えるかもしれませんが、実際はボディに刻まれた溝に、3本の薄い木片がはめ込まれています。

これは外観の美しさを加えるだけでなく、湿度や温度の変化によりボディ(特に表板)の木材が膨張・収縮・変形した場合に、亀裂が入る事や広がる事を防ぎます。

こちらがパーフリングの写真です。

象牙のパーフリング付きの1679年製ヘリエ・ストラディバリウス。
パーフリングが2線入ったドイツ又はフランス製のバイオリン。
線の内の1つは、装飾品として真珠層が使われている。
ジャン=バティスト・ヴィヨームが1820〜1830年代の間にかけて製作した
装飾的なパーフリング付きのブレシア市で作られたバイオリンのコピー

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ペグボックス

ジェディディア・デ・フリースによって作られた、未完成のペグボックス

ペグボックスは、指板の端とスクロールの間にある部分の事です。

これは、ネックとスクロールと同じ木材(通常はカエデ材)から彫られています。

ペグボックスの役割は、楽器を調弦するのに使われるペグを保つことです。

ナットと各ペグの距離は正確に標準化されてませんが、通常ペグは奏者が調弦しやすい場所に作られています。

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ペグ

様々なデザインの象牙のペグ

ペグはバイオリンを調弦するために使われるものです。

ペグは、ペグボックスの穴にはめ込まれており、各ペグには弦を通す小さい穴があります。

ペグをスムーズに回転させるには、ペグと穴の両方が完全に円形である必要があり、特にペグは、ペグボックスの穴と完全に一致するように調整しなければなりません、

調弦中に奏者が穴に押し込みやすいよう、ペグの先は徐々に細くなっており、締め付けると固定されるようになっています。


ペグは一般的に「黒檀」「ローズウッド」「つげ」で作られています。ペグは、無地だったり、はめ込み装飾、装飾彫刻が使われているものもあります。

ペグの大半は、単純に木材を彫刻されたものですが、近年では、従来のペグより物理的な力が必要とされず、ゆっくりとピッチを上げる事ができ、微調整がしやすいギア付きのペグが市場に出ています。

このペグは、アルミニウムやプラスチック製で、バイオリンに合わせて彫られていない為、ペグボックスの穴を大きくする必要がある事が多いです。一度大きく加工した穴は、元に戻す事はできません。

ギア付きのペグはあると使いやすくなりますが、元のペグが上手く機能していれば、一般的にはあまり価値がありません。

こちらが色んな種類のペグの写真です。

ウィットナー社のギア内蔵のペグ
ローズウッド製のペグ
ボックスウッド製のペグ

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ナット

完成したナット

ナットは、指板の端の高さのある部分のことであり、各弦に溝があります。

ナットはの高さを維持し、弦を指板に触れさせないようにします。これは振動音や指板の摩擦を防ぎます。

ナットの高さとの高さを合わせて、指板の上の弦の高さ(「弦高」と呼ばれる)が決まります。

「弦高」が低いと弦を押さえやすくなりますが、指板に対して不快な振動音が発生してしまいやすくなります。「弦高」が高いと、これとは逆の効果があります。

不快な振動音が出る「弦高」は、使用されている弦の種類や奏者自身によって変わります。例えば、大きな音で演奏すると振動音が発生しやすいので、より高い弦高が必要になります。

接着するためにナットを用意している様子
Triangle Stringsから転載
適切な高さにするために
ナットをやすりで擦っている様子

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ネック

彫られているスクロールとネック
lashofviolins.comから転載

ネックは、バイオリンを弾く時に持つ部分です。

ネック・ペグボックススクロールは、全て1枚の木片(通常はカエデ材)から削り出され、その上に指板が接着され、最後に全体部分がバイオリン本体にはめ込みられます。

ネックの下部は「ヒール」と呼ばれ、バイオリン内部にあるトップブロック蟻継ぎではめ込められ、接着されますが、トップブロックと併せて彫られたネックも存在します。

ネックは、バイオリンの中で唯一、奏者が日常的に触る部分なので、滑らかで、持ちやすく、手が動かしやすい形状になっています。

完成したネックに接着したばかりの指板を
接着剤が乾くまでクランプで固定している様子

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指板

指板は、ナットペグボックスから、に向かって伸びている木片です。

形を変えずに指の圧力に耐えるために、黒壇という非常に密度の高い木材で作られています(ただ、黒壇は希少であるため、代替材料を使って試す職人もいます)。

商標登録された合成素材Corene製の指板
ある地域から採れた木材を高密度化した
ソノウッド製の指板


黒壇は、黒か縞模様となっている場合がありますが、指板を美しく見せるため、黒く染められる事が多いです。これは指板の音や演奏のしやすさには影響しません。

ネックの末端から伸びた指板の部分は、音が弱くなるため、バイオリンのボディには触れていません。

指板は、他の弦を弾かずに、一度に1本ので演奏できるよう、側面に沿った凸状になっています。

縦は靴べらのような形をしており、演奏時に、指のすぐ前の位置でも、弦が振動する空間を確保しています。

ギターとは違い、一般的にバイオリンの指板はフレットが付いていません。ただ、稀にフレット付きのバイオリン(need link)は存在します。

こちらが、指板の写真になります。

飾りとして貝殻が
はめこめられた指板
アマティ兄弟ヴィオリーノ・ピッコロのバロック式の指板
このタイプの指板は、現代の指板より極めて短い

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合成素材で作られたエヴァピラッツィの弦は、現代のクラシック奏者に人気である。
トマスティック社ドミナント弦G,D,A線とピラスト社ゴールドラベルE線(オプティマゴールドブロカットE線の時もある)は、最も一般的な弦の組み合わせの一つである。
ダダリオ社のヘリコア弦は、フィドル奏者の中で人気のスチール製の弦である。

弦の主な役割は振動する事であり、この振動がによってバイオリンに伝わり、ボディーによって増幅される事で、バイオリンの特徴的な音色がうまれます。

弦からの圧力は、駒と魂柱を適切な位置で支え、落ちる事を防ぎます。

弦は、片方はテールピースに締め付け、もう片方はペグを巻きつけます。

弦を適切な周波数で振動させるために、4本の弦はそれぞれ密度と張力が異なり、更に弦のブランドごとに、各4本の弦の密度と張力は異なります。


一般的にE弦は、長さに沿ったどんな位置でも、はっきりした音が鳴るように、他の弦よりかなり細く、とても強く張られています。

また、バイオリンの弦には、かなりの種類があります。

昔は、弦は羊の腸で作られており、その外側に絹を巻く事がありましたが、今は金属で巻かれています。

これらのガット弦は、まろやかな音を出すことが多いですが、湿度や温度の変化にさらされると、簡単に音程が外れてしまいます。またシンセティックコア弦ほどのパワーは出ない事が多いので、現代の奏者の多くはこれらの理由からシンセティックコア弦を選ぶ事が多いです。

弦は自然と劣化しますが、劣化すると音が不明確に聴こえ、バイオリンが一部共鳴しなくなります。

弦は、時々切れる事もありますが、過剰に心配する必要はありません。

この場合、弦の端をテールピースに締め付け、もう一方の端を正しいペグに巻きつけることで、簡単に弦を交換することができます。

駒と魂柱を固定している圧力が絶えず残るように、弦を一度に1本ずつしか外さない事が重要です。

使用頻度と使用している弦にもよりますが、殆どの奏者は、年に1~4回弦を交換します。

ガムット社のトリコール弦は、腸で作られており、20世紀初期の最も偉大なヴィルトゥオーソの中で使用してる者もいた。
ピラストロ社オイドクサ弦は、腸に金属が巻かれており、こちらも20世紀のヴィルトゥオーソの中で極めて人気であった。

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ボディー

ボディーの内側の画像。左側はブロックと側板が付いた裏板。表板を接着する時にf字孔から見えるよう、バイオリンの真ん中のラベルにバイオリンの製作日と職人名が書かれている事が多い。
右側は表板の内側で、f字孔が彫られ、バスバーが接着された状態の画像。

ボディーは、バイオリンの主要部分になります。

これは、表板、裏板、側板と3つの部分に分けて作られています。

ボディー全体の振動から、バイオリンの音を作り出します。

バイオリンの真ん中部分(くびれ部分)は、弓がバイオリンの端に当たらず、自由に動かせるよう、彫られています。

裏板は1枚か2枚の木材を接着したもので、カエデ材で作られている事が多く、表板は、2枚の木材(通常はスプルース材)を接着したものが一般的です。

どちらの木材も厚さは3~4mmと、とても薄いものになります。

こちらがバイオリンのボディが製作されている写真です。

表板を彫る初期段階の様子。
David Finckから転載。
バイオリンのアーチの内側部分になる箇所を彫っている様子。
Photo from Jedidjah de Vries. Jedidjah de Vriesから転載。

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ニス

バイオリンにニスが塗られている様子。

ニスは、樹液と亜麻仁油の混合物か、アルコールとシェラック(虫から分泌される副産物)の混合物のどちらかのものになります。

完成したボディーに塗ることで、バイオリンの振動を損なわず、湿度やほこり、汗などから木材を保護します。

また、外観もとても美しく見えます。

ニスが木材に吸収されないよう、通常、最初に基層に塗布します。 

基本的な材料は常に同じですが、様々な異なる製法があるため、バイオリンの外観がとても異なることがあります。

稀に、最後の仕上げとして、職人がニスの上に飾りを加えることもあります。

こちらが様々な珍しい飾りのバイオリンの写真です。

ジャン・バティスト・ヴィヨーム(same link as above)によって作られた、飾りとしてカラマン公爵の家紋が付いている1865年製カラマン・ド・シメイのバイオリン。
リーラ・ジョセフォウィッツの依頼で、サミュエル・ジグムントヴィッチによって作られた、ドラゴンの装飾付きの現代バイオリン。

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側板

職人がアイロンを用いて側板を曲げている様子。 Derek McCormackのバイオリンブログから転載。
接着される前の曲がった側板。
バイオリン職人Kevin Leeからの写真。

バイオリンの側面のことを、側板といいます。

側板は、バイオリンの表板と裏板を合わせ、内側はバイオリンのトップブロックボトムブロック・四隅のコーナーブロックで支えられています。

木材から削り出して形を作る大きな部分とは異なり、バイオリンの側板は、熱で曲げてブロックに接着することで、最終形態の形を維持する役割を担っています。

側板の上面は、バイオリンの表板と裏板に直接接着できないほど薄いので、ライニングと呼ばれる小さな細長い板を、側板の両端に接着し、ライニングがブロックとともに、表板と裏板に接着しています。

こちらは、側板が作られている写真です。

型に付いている側板。
MS Prussia Coveから転載。
上部と下部のライニングが接着された側板の内側。
Derek Roberts Violinsから転載。

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魂柱

トップブロックから見えるバイオリンの内側の写真。
写真の上部ではバスバー、真ん中では魂柱、そして奥では、エンドピン用の穴があるボトムブロックが見える。

魂柱は、バイオリンの内側にあり、の高音側の後ろに位置する小さなダボの事です。低音側のバスバーとは対称に位置しています。

バイオリンに魂柱を接着させると、魂柱の入れ替えが難しくなり、調整するのも不可能になるため、魂柱は接着されていません。が駒にかかる圧力だけで魂柱は固定されています。


魂柱は、駒やバスバーのように、1つ1つのバイオリンに、正確にフィットするように作られています。

魂柱は、①バイオリンの上面を支えること②魂柱の長さと位置の両方が、音の力強さと音色に大きい影響を与えること、といった重要な役割を果たしています。

魂柱の位置をたった0.01mm動かしただけでも、バイオリンの音は急激に変わります。

魂柱は、他言語では楽器の「魂」と呼ばれるほど、音にとって非常に重要なものです。

湿度と温度が変わると、魂柱の高さの変化はボディの高さの変化より小さいので、ボディにかかる圧力が影響され、季節によってバイオリンの音が変わる事があります。このため、プロの演奏家は、季節ごとに職人に魂柱を調整してもらう事がありますが、これは個人の好みに基づくもので、決して強制されるものではありません。

職人が特殊な道具を用いて魂柱をセットしている様子。
魂柱を調整する道具。

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エンドピン

テールピースに付着しているテールガットは、サドルの上にのり、ボトムブロックに固定されたエンドピン(写真からは見えない)に巻きついている。

エンドピンは、バイオリンの下部に位置する丸い部分です。

ボトムブロックに固定されており、通常「黒壇」や「ローズウッド」で作られています。

材料はペグテールピース・顎当てに使われている木材と同じものを選ばれる事が多いです。

テールピースに付着するテールガットは、テールピースを固定するために、エンドピンを巻きつけています。これによって、も定位置に固定されています。

黒檀、ローズウッド、棗の様々な種類のエンドピン。

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テールガット

ウィットナー社テールピースのナイロン製のテールガット。

テールガットは、テールピースに付着している黒い紐の事をいいます。サドルの上に乗り、エンドピンを巻きつけ、テールピースとを定位置に固定します。

からテールピースの距離を調整するために、テールガットの長さは調整する事ができます。

昔は腸から作られていましたが、現在はほとんど、ナイロン・チタン・ケブラーのような合成繊維等で作られています。

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トップ・ボトム・コーナーブロック

側板、ライニング、ブロックが取り付けられているバイオリンの裏板の内側。 

トップブロック、ボトムブロック、コーナーブロックとは、バイオリン内部の様々な場所にある木片(一般的に柳・トウヒが使われている)のことです。

これらは、バイオリン製作時に、側板の形を形成する際に必要な構造体の役割を担っており、ライニングと共に、側板をバイオリンの表板と裏板に繋ぐための接着面にもなります。

側板の上端と下端は、バイオリンの表板と裏板に直接接着できないほど狭いので、側板の内側をライニングとブロックに接着し、次にこれらの上面と底面を、表板と裏板に接着し、ボディーが完成します。

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トップブロック

ネックは、この蟻継ぎに接着され、はめ込められる。

トップブロックは、ボディーの上部・ネックの下部に位置します。

通常、ネックは蟻継ぎを用いてトップブロックの中に接着され、はめこまれますが、ネックとトップブロックが一体となって彫られることもあります。

トップブロックは、バイオリンが壊れないよう、弦からの張力を分散するための表面積の役割も担っています。

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ボトムブロック

エンドピン用の穴付きのボトムブロック。

ボトムブロックは、テールピースの先端・ボディの下部に位置しています。

エンドピンを固定する役割を担っており、からの張力を分散させるトップブロックと同じ役割を果たしています。

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コーナーブロック

コーナブロック。ライニングは、側板の上部と下部で見られる。

コーナーブロックは、バイオリンがくびれている箇所に位置する、尖った角の中にあります。

これらは、側板の構造体を形成するためだけに使われ、作成過程によっては必要ない場合もあります。一部のバイオリンには(特に古いドイツ製のバイオリン)、コーナーブロックが付いていないものもあります。

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バスバー

バスバーが接着された表板の裏側。

バスバーは、バイオリン表板の裏側に接着された細長い木片の事であり、ほぼ表版と同じ長さで、低音側に通っています。

バイオリンの中心線から見ると、高音側にある魂柱と対称的に配置されています。

バスバーは、各バイオリンの表板の曲面に合わせて、作られています。

また、から表板にかかる圧力27kgを支える事をサポートするだけでなく、バイオリンの音に莫大な影響をもたらします。

Various parts of the bridge. 駒のあらゆる箇所の名前。

駒は、バイオリンの弦を支える部分になります。

数ある役割の一つとして、バイオリンのボディーに振動を伝える役割があり、そこで増幅された音はf字孔によって放出されます。

通常、駒は2つのf字孔の刻み目の間に位置しています。

「kidney」と呼ばれる穴が彫られているため、駒の構造が弱まらず、質量が減らされます。

これにより、からの23kgの圧力が支えられつつ、減音効果が軽減されます。

駒の表はやや曲がっていますが、裏は真っ直ぐになっています。

弦は駒の後ろより前の方が長いので、駒を前に引く力が後ろに引く力より強くなり、この駒の形状のおかげでバランスの釣り合いがとれています。

駒の上面は、誤って隣の弦に触れることなく、1本の弦で演奏できるように曲がっています。

曲がりの強い駒は1本の弦で弾きやすくなり、曲がりの弱い駒は複数の弦で弾きやすくなります。

「弦高(=指板上の高さ)」は、ナットの高さを合わせた駒の高さによって決まります。

「弦高」が低いと弦を押さえやすくなりますが、指板に対して不快な振動音が発生してしまいやすくなります。「弦高」が高いと、これとは逆の効果があります。

不快な振動音が出る「弦高」は、使用されている弦の種類や奏者自身によって変わります。例えば、大きな音で演奏すると振動音が発生しやすいので、より高い弦高が必要になります。

これらの変動する部分を調和するため、駒はバイオリンごとに削られています。

また、駒の足も、バイオリンの表板の曲面に合わせて削られます。

駒の足は、糊や接着剤などで調整できず、交換するのも難しいため、弦の圧力だけで固定されています。

この圧力が、重要な理由はもう一つあり、魂柱(駒の低音側の足のすぐ後ろに位置している)が倒れないようにするため固定しています。

そのため、4本の弦全てを一斉に取り外すと、駒も魂柱も倒れる可能性が高いため、これはお勧めできません。

駒、バスバー(左側)、魂柱(右側)が見えるバイオリン内側の横断面。

弦のチューニングにより、駒の上部が徐々に引っ張られ足が水平でなくなるため、演奏者は数日おきに駒をチェックし、必要に応じて駒の裏面が表板と90度の角度になるよう位置を戻し、足がバイオリンに対して水平になるようにする必要があります。

長期間に渡って、駒を調整しない場合は、駒は徐々に歪んでいき、いずれは交換する必要になります。

よく見られるブランドの駒には以下のような「blank」があり、これはどのバイオリンにも合うようにまだ削られていない状態となっています。

テールピース

ボックスウッド製のヒルモデルのテールピース。
ローズウッド製のフレンチモデルのテールピース。

テールピースは、バイオリンの下部で弦を固定する細い木片のことです。

これはアジャスターを固定するもので、テールガットによってバイオリンに取り付けられています。テールガットは、サドルの上にのり、ボトムブロックに固定されたエンドピンに巻きついています。

テールピースは、全長にわたって、張られて浮いており、バイオリンのボディに触れることはありません。

テールピースは、通常、ナツメ、黒壇、マホガニー、ローズウッド、ツゲ等の木材やプラスチックで作られ、また色んな形状で作られます。

象牙製のチューリップモデルのテールピース。
ローズウッド製のハープモデルのテールピース。

駒からテールピースの距離は、テールガットを長くしたり短くしたりする事で調整できます。

テールピースには、アジャスター付きのものと、アジャスター無しのものがあります。

どちらのタイプも同じように弾けますが、アジャスター無し用に作られたテールピースにアジャスターを付け加えることはお勧めしません。理由は、アジャスター無しのテールピースは、重量を増やすために設計されていないため、音がこもってしまうからです。

アジャスター4本内蔵のボックスウッド製ヒルモデルのテールピース。
プラスチック複合材料で作られたウィットナー社のテールピースは、子供や初心者用バイオリンでよく見られる。
装飾彫刻付きのメシア ストラディバリウスのテールピース。
ジャン=バティスト・ヴィヨームによって作られた、「サントポール」バイオリンのテールピース。

サドル

サドルは、バイオリン下端に付いており、テールピーステールガットの真下にある木片(通常は黒壇)の事です。

バイオリンの端が削られる事を防ぐため、ボディからテールガットを持ち上げています。

サドルの高さ、幅、形は、製作された時代、バイオリンの原産地、職人の好み等によって大きく異なります。

近年では、以下の2つの形がよく使われています。

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